ポップス尺八奏者 すみれ 公式サイト
○2023年
・4月29日

2023年4月29日


埼玉県久喜市の菖蒲神社にて藤祭が開催された。
昨年に引き続きすみれ・昌平にとって2度目の出演となる。
昨年は5月3日の開催で藤の花は終わりかけの頃であったが、今回も最盛期は過ぎていたものの十分に花を堪能できるくらいの状況だ。

祭りは午前中に御祈祷から始まり、神道無念流による剣術の演舞、みすじ会による三味線の合奏と歌唱が行われた。

午後になり、いよいよすみれと昌平の出演だ。
空は晴れ渡り日差しが強いものの風脚が強まり、尺八の演奏にはやや困難となるコンディションである。
しかし、野外ライブは道の駅ららん藤岡にて、毎年冬季を除き週に1度行っているので、既にお手の物である。
そんな中、花にまつわる曲を始め、事前にとったリクエスト曲を中心に演奏が進められていった。
互いに毒を吐き合うお決まりの師弟漫才も交えながら、1時間強の間に15曲もの演奏をこなした。
そこで終了の予定であったが、観客の熱烈なアンコールもあり、最後に1曲追加で演奏して終演となった。

2度目の出演ということで地元での認知度も上がり、すみれ・昌平目当てでのリピーターも見受けられた。
この地での次なる活動の十分な足がかりを掴めたと言えるだろう。

その後も藤祭りは続き、地元洋服店によるファッションショー、キーボード奏者matildaによる演奏で、盛況のうちに幕を閉じた。

(著・中村智哉 /2023年4月29日)


2022年10月30日



伊香保温泉 市川別館 晴観荘にて定期ライブが行われた。
こちらの旅館では昨年7月に初めてライブが行われ、以来月に1〜2回程のペースで定期的に開催されている。
10月末となる今現在、山麓に位置するこの辺りでは紅葉が色付き始めており、観光シーズンを迎え始めた折である。

夕食を終えた宿泊客が会場となるロビーに集まり、20時に演奏が開始された。
まずは昌平の独演で2曲の演奏を終えた後、久々に着用したという浅葱あさぎ色のストライプ模様の着物姿のすみれが登場し、それからは2人での共演となった。
宿での食事を済ませたばかりで満腹となったすみれは、音色のほうもまったりとした雰囲気での演奏だ。
そして尺八の音色に合わせるかのように、卓球に興じる宿泊客の球の弾く音がリズムを刻むのも温泉宿の風情と言えよう。

リクエストをとりながら計15曲に及ぶ曲数を、トークを交えて1時間オーバーで演奏し、お開きとなった。
その中で、すみれがあまり人前で披露したことのない曲もあり、探り探りで音を作っていく様子も見られた。
初見の観客はもとより常連にとっても新鮮で聴き応えのある貴重な回となったように感じられた。
終演後は観客の希望で記念撮影するなど、反応も上々であった。

紅葉が見頃を迎える見込みの11月9日(水)、11月17日(木)にも同ライブが開催される予定だ。
宿泊はもちろん、ワンドリンクオーダーだけでも来館も可能なので、紅葉とともに尺八の音色で晩秋の趣を是非堪能したみてはいかがだろうか。

(著・中村智哉 /2022年10月31日)

<ダイジェスト映像>


2022年8月7日



今年3月5日以来2回目となる、群馬県藤岡市のみかぼみらい館にてコンサートが行われた。
夏真っ盛りながらやや天候が崩れ冷涼な日々が続いた中、この日を待ってましたと言わんばかりに太陽が燦々と降り注ぐ晴れ模様。
今回メインとなる演者は昌平である。
すみれを弟子として迎えて以来、長きに渡りすみれの指導やプロデュースに専念してきた昌平だが、改めて尺八奏者として自身の本来の姿を見つめ直したいと考え、この度の企画を決意したという。

即興演奏をしながら幕が上がり、多彩に装飾や照明が施された舞台に立つ袴姿の昌平が現れ、開演となった。
それは約4分間の演奏であったが、一刻一刻を噛み締めながら紡がれ形を成してゆく、しかし降り注いでは消え行く淡雪のように全てが一瞬の出来事のようにも思える、言葉では言い尽くせない昌平の人生観が詰まっていたように感じられた。

序章から本気を見せた昌平、クールダウンとしばしのトークから一曲目に演奏するは「あゝ人生に涙あり」。
尾崎豊「I LOVE YOU」、美空ひばり名曲集「愛燦燦」「真赤な太陽」「津軽のふるさと」「悲しき口笛」「東京キッド」「あの丘越えて」「みだれ髪」「悲しい酒」「リンゴ追分」「川の流れのように」と演奏していった。
積年の思いが募りトークにも熱が入ったようで時間があっという間に過ぎ去り、予定していた演目をいくつか削り、昌平が尺八を始めて最初に練習を重ねた「YESTERDAY」で締め括った。

次にお馴染みの赤いドレスを纏ったすみれの登場。
まずは「青い珊瑚礁」の演奏。
すみれは今までヘッドセットマイク(ピンマイク)をつけて演奏していたが、安定して力強い音色を出せるようになったということで、今回はスタンドマイクに向けての演奏となった。
そのためかいつもより身振りが少なく慎ましやかに見えたが、安心して聴いていられる頼もしさが増し、新たな扉が開いたように感じられた。
続いて「古城」「別れの一本杉」「ゴッドファーザー 愛のテーマ」と渋いチョイスで演奏した。

そしてゲストのピアニスト・ARUHI(原綾佳)の登場。
この女性はルアン株式会社の配信番組「ハゲどっと来い!」にて4月26日7月5日の2度にわたりすみれ、昌平と共演をしており本公演での抜擢が決まったのだが、ピアニストという華やかな印象とはかけ離れた極度の節約生活で注目を集めテレビ番組で度々取り上げられたり、海外でも流浪の演奏活動をしたり等、波乱に満ちた生き方をしている人物である。
すみれとの共演で「糸」を演奏。
普段のカラオケ音源よりもゆっくりなテンポでのすみれの独奏から始まり、追ってARUHIが伴奏をつけていったのだが、優しいタッチから次第に立ち上がって全身を使った力強いタッチとなり、抑揚がありながらも尺八の音色と見事に調和した演奏表現が印象的であった。
引き続き2人での「サマータイム」の演奏途中でキラキラジャケットに着替えた昌平が登場し、すみれと交代となった。

それから昌平とともにARUHIの得意とする即興演奏が行われた。
音楽として王道の主旋律+伴奏ではなく、お互いに隙を探り合いメイン争いをするかのようで、しかし競い合いながらも波長を合わせているからこそ成立するいわばプロレスのような、しかしその心地よさはシンクロナイズドスイミングのような、そんな演奏だ。
そしてARUHIによるクラシックのピアノ演奏が披露されたが、即興演奏で見せた感性の豊かさはもとより素養の深さも窺い知れ、それはARUHIをゲストとして抜擢した昌平の真意が伝わってくるものであった。

再び紺色のドレスに衣装替えしたすみれが登場し、最終コーナーは昌平とすみれの師弟共演。
「宵待草」「荒城の月」「夢一夜」「鈴懸の径」といった定番の演目で、これまでの長時間に及ぶ演奏にも関わらず、両名ともこの日一番の自然体で演奏しているように伺えた。
進行しながらプログラムの予定と変えつつ、サプライズ満載であったが最終的には丸くまとまり、非常に充実したコンサートとなったと感じられた。

本公演を終え昌平は全てを出し尽くした様子であるが、これにて一段落とするのか、あるいは更に精力的な活動を続けていくのか。
後者であって欲しい、これからもすみれが追い求める姿を見せ続けて欲しい、と筆者は切に願う。

(著・中村智哉 /2022年8月8日)

<ダイジェスト映像①昌平独演編>

<ダイジェスト映像②すみれ・ARUHI共演編>


2022年5月3日


埼玉県久喜市の菖蒲神社にて藤祭が開催された。
菖蒲神社の境内には埼玉県指定天然記念物の藤の木が鎮座しており、ゴールデンウィークの時期になると見事に咲き誇る。
その藤の花を祭るための催事に今回はすみれと昌平の尺八演奏で参加することとなった。
近年は気候の温暖化により、ゴールデンウィークより早い時期に藤の花の最盛期を迎える傾向にあり、この日は既に終わりに差し掛かってはいたものの綺麗な花房も散見され、なんとか間に合ったという頃合いであった。

祭りは午前中に御祈祷から始まり、菖蒲神社に所縁のある神道無念流という剣術流派の演舞、菖蒲上仲若連によるお囃子が厳かに行われた。

午後になり、いよいよすみれと昌平の出演だ。
本殿前に敷かれたレッドカーペットがステージである。
まずはすみれによる「まつり(北島三郎)」の演奏。神社の厳粛な雰囲気も一変してすみれ色に染め、大いに盛り上げた。
そして昌平も加わり、「花〜すべての人の心に花を〜」を共演。一見ちぐはぐながら、息の合った掛け合いはやはり見事である。
それからはリクエストをとり、「サボテンの花」「花は咲く」「北国の春」「あの日にかえりたい」「また君に恋してる」「みだれ髪」「星の流れに」「長い夜」を演奏し、「川の流れのように」で締めくくった。
アンコールで「鈴懸の径」「愛燦燦」を演奏し、約1時間のステージを終えた。

終演後、すみれは前橋市で行われる「絆フェスタ」なるイベントに出演のため急いで帰路に着いたが、
藤祭は引き続き地元洋服店によるファッションショー、久喜市のアコーディオンサークルの演奏会が行われ、盛況にて終わりを迎えた。

すみれにとって埼玉県は昌平音楽事務所のある上里町、ラジオ番組のレギュラーを持つ熊谷市と、北部には馴染みがあるが、久喜市のある東部にはこれまであまり縁がなかったため、
初めてポップス尺八演奏を聴くという観客も多く、反響も大きかったように感じられ、大変有意義な機会となったことと思う。

(著・中村智哉 /2022年5月4日)

<ダイジェスト映像>


2022年3月27日


群馬県桐生市の水沼駅温泉センターの屋外スペースにて「水沼マルシェ」なるイベントが開催された。
この水沼駅温泉センターにて先日すみれは広報大使に就任したところで、早速のお仕事である。
本イベントはキッチンカー等の出店が集い、同時にライブ演奏が行われるといった内容だ。
渡瀬川ほとりの山々に囲まれ自然豊かな環境で、あたりは黄色い菜の花や紫色のハナダイコンの花が咲き誇り、桜の花も咲き始めてすっかり春めいた折、日差しは暖かであるが風もやや強い中でのライブとなった。

人が集まり賑わい始めた正午少し前にすみれが演奏開始。
開放感ある中でのライブのためか、演奏ものびのびとしているようだ。
演奏するすみれを囲んで演奏に聴き入る観客もいれば、キッチンカーに並び飲食を楽しみながらステージを見る観客もおり、各々思い思いの過ごし方で、とてもゆったりとした贅沢な時間である。

数十分程すみれが演奏したところで、女性(?)ウインドシンセサイザー奏者・ゆうこりんと交代。
ゆうこりんは屋外ライブのイベントですみれとも何度か共演しており、すみれのラジオ番組にもゲストとして登場している。
このウインドシンセサイザーという楽器は、尺八と同様に息を吹くことにより鳴り指の抑え方で音階が決まる管楽器であるが、聴こえてくる音は電子音というなんとも不思議な楽器である。
聴き馴染みはないもののどこか懐かしさを感じるような心地よい音色で、ゆうこりんのキャラクターも相まって興味惹かれる観客も多かったようだ。

ゆうこりんの演奏も数十分程経ったところで再びすみれの演奏。
小さな女の子が曲をリクエストしておもちゃの棒を振りながら真剣に聴き入ったり、すみれの演奏に合わせてゆうこりんが踊ったりと、微笑ましいシーンも見られた。
こうしてすみれとゆうこりんが交代を繰り返しながら、約3時間にも及ぶライブとなった。

水沼温泉センターではこれからも日曜日に定期的にすみれのライブが行われる予定なので、演奏と温泉と自然を堪能しながら癒しの休日を過ごしてみてはいかがでしょうか。

(著・中村智哉 /2022年3月28日)


2022年3月5日


群馬県藤岡市のみかぼみらい館にてコンサートが行われた。
前日3月4日のすみれの誕生日を記念しての開催で、またチャリティーコンサートでもあり収益の一部は寄付される予定となっている。
この日は最高気温18℃と春の訪れを感じさせる陽気で、まさに「すみれの開花日和」である。

今回は昼の部と夜の部の2回の構成で、まずは昼の部
「サボテンの花」の演奏ととも白いドレス姿のすみれが登場して開演。
音色は安定して綺麗に出ているが、表情はやや固いようだ。
一曲目の演奏を終えるとすみれが開演の挨拶をし、続いて「赤いランプの終列車」を演奏。
「あゝ上野駅」「東京だよおっ母さん」では演奏とともに照れた様子を見せながらセリフを語った。
次に「みだれ髪」を演奏すると、昌平が登場しバースデーケーキを持って登場し、誕生日を祝いながらトークを行った。
そこでようやくすみれの緊張がほぐれたようだ。
最後の「あの素晴らしい愛をもう一度」では観客席に向かって笑顔で手を振る様子も見られた。

すみれの最初のステージが終わると、MCの青柳美穂(通称「ムーちゃん」)とともにトークを行い、
それからルアン株式会社の阿部稔社長が登場し、「スーパーミリオンヘアー」の製品実演紹介が行われた。

次のステージは歌手の長谷川直美、すみれのコンサートでは度々共演をしているお馴染みの仲間だ。
優しくも芯のある声で丁寧に丁寧に歌い上げる様は青柳美穂の言うようにまさしく「人柄が感じられる歌」である。

続いて登場したのはアコーディオン奏者の福田真由子、すみれとは2月22日にFMクマガヤ「すみれのモヤモヤハッスル」にて共演した間柄だ。
派手目な装いとざっくばらんなトークとは裏腹に、両手の異なる動きを巧みに使ったその演奏技術は圧巻であった。

いよいよステージは終盤を迎え、昌平の登場だ。
「名月赤城山」「悲しい酒」「リンゴ追分」「通りゃんせ」と流れるように披露し、その抑揚のある演奏は今年で芸能デビュー55周年を迎えるという積年の功を存分に見せた。
そしてすみれが再び登場し「荒城の月」「宵待草」を昌平と2人で演奏した。
引き続き2人で、受付で募ったリクエストで票数の多かった曲から演奏していった。
予定調和でない曲目だが、互いの動きを読み合って交互に独奏あるいは重奏を構成していき、実に息の合った共演だ。
こうして昼の部は終演となった。

夜の部も同様のプログラムであったが、FMクマガヤ代表取締役・宇野元英も駆けつけ、ゲストとして参加となった。
宇野元英はすみれと同じく3月4日が誕生日とのことで、ミュージシャンとしての一面も持つ。
福田真由子のアコーディオンにカホンで共演し、コミカルな動きと軽快な演奏で大いに賑わせた。

約2時間半を2度にわたってのステージとなり長丁場であったが、すみれは終盤にかけて演奏もトークもより弾み、疲れを一切見せることなく無事に終えることができた。
共演者や観客に恵まれ、沢山のお祝いや援護、温かい拍手を頂戴する中で、同時に大きな活力も貰い受けていたことだろう。

コンサート終了後、すみれは以下のように綴った。

こんなに盛大に祝って頂き
私が尺八を吹くことすら知らずに逝ってしまった父も
さぞ喜んでくれていると感じました。
生まれよかった。
師匠に育てて頂いて続けてこられてよかった。

(著・中村智哉 /2022年3月6日)

<ダイジェスト映像①プログラム>

<ダイジェスト映像②リクエスト>

●デイヴちゃんねるによる動画①インタビュー②演奏&リハーサル③まとめ

2021年12月9日


群馬県前橋市の創業カフェ・ムーちゃんにて公開ラジオ収録ライブが行われた。
この店のオーナーは青柳美穂(通称・ムーちゃん)で、過去にも度々すみれのコンサートやラジオでMCを務めている間柄であり、
焼きまんじゅうマフィンなるオリジナル商品が大変好評を博し、前橋市のお土産コンテストでもグランプリを獲得している店だ。

クリスマスシーズンということでサンタクロースのコスチュームを纏ったすみれが登場し、「クリスマスソングメドレー」にて開会。
観客は次々に運ばれてくる料理を食べながら、続いての演目「真赤な太陽」「ブルー・シャトウ」の音色に聴き入った。
ここからは観客とのトークやリクエストを交え、「女ひとり」「恋におちて -Fall in love-」「LOVE LOVE LOVE」を演奏。
12月の風物詩として紅白歌合戦が挙げられるが、2021年現在出演回数3位である森進一の「襟裳岬」を披露し、それから「銀座の恋の物語」「恋の町札幌」「北国の春」「精霊流し」と演奏していった。
そしてこの収録は年末にラジオ放送されるということもあり、「お正月」「あの鐘を鳴らすのはあなた」を演奏。
それから「小指の想い出」「上を向いて歩こう」、最後に今年の紅白歌合戦出場者の坂本冬美の持ち歌である「また君に恋してる」で終演した。

ここ最近は新型コロナ感染状況もやや落ち着いたことにより仕事が急増した中、今回はお馴染みのメンバーに囲まれたことで緊張の糸が切れてしまった面もあったことだろう、序盤はミスをしてしまう場面が散見されたが、後半にかけて軌道修正がかかり文句なしの演奏をお披露目できていた。
今後は演奏技術や表現の幅の向上はもとより、状況に関わらずいかにブレなく安定した演奏ができるかが課題となることだろう。

尚、このライブの様子はまえばしCITYエフエム M-wave「すみれのオープンラウンジ」にて12/20,12/27(19:30-20:00)の2回にわたり放送される予定。
スマホアプリListen Radioにて、市外のどこからでも聴取可能だ。

(著・中村智哉 /2021年12月10日)

<ダイジェスト映像>


2021年11月14日


水沼駅温泉センターにて公開ラジオ収録ライブが行われた。
ここは群馬県桐生市の黒保根町という山間部にあり、周囲の山々は紅葉で褐色に色付き始めているところだ。
この水沼駅温泉センターではこれまでも何度か定期的にライブを行なってきたが、自粛期間があったため約4月半ぶりの開催となった。

時間になり施設内のお食事処・わたらせ庵のステージにすみれが登場。
温泉施設にちなんでまずは「いい湯だな♪」を演奏した。
力強く優美な音色が会場に響き渡った。

水沼駅温泉センター近辺には河童伝説の言い伝えがあることから、浴場は「かっぱ風呂」と称され河童の石像が鎮座している。
それに合わせ、「河童ブギウギ」でデビューした美空ひばりの曲「悲しき口笛」「東京キッド」「あの丘越えて」メドレーを2番目に披露した。
それからリクエストに応えてトークを交えながら「いい日旅立ち」「オリビアを聴きながら」「木綿のハンカチーフ」「駅」「ハナミズキ」「ママがサンタにキスをした」「涙のキッス」「遠くへ行きたい」「みだれ髪」「恋するフォーチュンクッキー」を演奏してラジオ収録を終えた。
その後もライブは続行し、「あの鐘を鳴らすのはあなた」「千曲川」「天城越え」「涙と酒と男と女」「川の流れのように」を演奏して終演となった。

約90分間であったが、非常に濃密でボリューミーなライブとなった。
すみれのライブ目的で来場した方もいれば、温泉に来て偶然居合わせた方もいて、ご年配からお子様まで幅広い層の方々が集まり、すみれの演奏に耳を傾けていた。
このライブは無料で行われたものであるが、こうした活動をコツコツと続けることで今の活躍を得ることができているのだと実感させらるものであった。

このライブの様子はFM OZE「すみれのオープンラウンジ」にて12/7,12/14(14:30-15:00)の2回にわたり放送される予定だ。
次回は12月5日にまたこの場でライブを行う予定となっている。

(著・中村智哉 /2021年11月14日)

<ダイジェスト映像>


2021年10月17日


群馬県沼田市の利根沼田文化会館にて、サラダパークぬまた主催でのコンサートが行われた。
サラダパークぬまたでは2018年、2019年と2度にわたりすみれ&昌平ライブが行われた経緯があり、この度サラダパークぬまたの沼田市指定管理10周年記念として本公演は開催された。
すみれコンサートとして開催された本公演であるが、ゲストも大変豪華で、サラダパークぬまたでの出演経験もしくはすみれとの親交のある顔ぶれである。
そしてお祝いにと20件ものスタンド花が寄せられ、会場が豪華に彩られた。
そんな一大イベントとなった本公演のチケットは前売りの段階で完売し、400名を超える来場者で賑わいを見せた。

本公演はチャリティーコンサートとして開催され、東日本大震災の復興支援を目的の1つとして掲げているが、そのテーマソングである「花は咲く」のすみれによる演奏から幕が開けられた。
すみれにとって今年3度目のコンサートホールでのステージということもあり、非常に落ち着いて安定した伸びやかな音色だ。
挨拶や主催者である田中博(サラダパークぬまた館長)のお話を交え、2曲目に「青い珊瑚礁」を演奏したところですみれの1度目の出演は終了。

最初のゲストコーナーは後藤勇一郎と杉浦清美によるヴァイオリンのデュエットだ。
ヴァイオリンの繊細で優しくも力強い音色で、会場は心が洗われたようなウットリとした雰囲気に包まれた。

次なるゲストは津軽三味線奏者歌手の澤田慶仁、すみれとの共演も数多く、すみれファンにとってもすっかりお馴染みの顔だ。
演奏・歌・トークが三位一体となった抜群のエンターテインメントで観客を虜にした。

そして再びすみれが登場。先の赤いドレスから衣装を替え、紫色のドレスで大人らしくも可憐な雰囲気である。
今回は昌平との共演であるが、ギタリストの渡辺裕太とキーボーディストの村原康介を伴ってのステージだ。
この2名は数々の名だたるアーティストのバックミュージシャンとして第一線で活躍してきており、今月5日にルアン株式会社の「ハゲどっと来い!」にてすみれとは共演を果たしている。
演奏曲「コーヒー・ルンバ」「サマータイム」を続けて演奏すると、急遽即興での演奏も行い、「夢一夜」で締めくくった。
ジャジーな雰囲気の中、予定調和でない良い意味での不安定感があり、今までとは違うすみれの一面が見られるとても貴重な機会となった。

3組目のゲストはフラメンコの花山直美(歌・福田加弥子、ギター・盛植俊介)だ。
ムーディーな歌とギターに合わせた軽快なステップと優美な舞いに観客は酔いしれた。

最後のゲストはすみれとも同郷の前橋出身で、尾瀬の郷親善大使を務める歌手の沢田知佳だ。
明るい笑顔にエネルギッシュで包み込むような優しい歌声で、観客に元気を与えた。

そして3度目のすみれは1回目とは異なる赤いドレスに身を包んで登場。昌平との共演である。
「愛燦燦」「また君に恋してる」「宵待草」「川の流れのように」「鈴懸の径」「コンドルは飛んで行く」と、昌平との重奏ではお馴染みのレパートリーを連ねた。
表情や音色の響きからはさすがに疲れが見て取れるか。
無理もない、前日には神奈川県南足柄市まで遠征して演奏活動をこなして迎えたこのコンサートである。
それでもミスをすることなく最後までやり遂げたことを称賛したい。

最後は再び澤田慶仁が登場し、すみれ&昌平、更に渡辺裕太&村原康介も再び登場しての盛大な演奏となり、終演となった。

3時間を超える長丁場の盛大なコンサートであった。
世の中は未だコロナ禍の不安の中にあるが、ちょうど感染の波も収まり無事に迎えられた本公演。
「ソーシャルディスタンス」や「リモート○○」など、物理的に人と人との距離が広がっていく世の中にあって、人と人とが手と手を取り合い、面と向かい合って何かを為すということの重要さを改めて教えてくれた素晴らしいコンサートとなったように感じられる。
まだ社会の行く先は見えない状況にあるが、これからも心豊かに生きていけるだろうと、この場の誰もが感じていたことと思う。

(著・中村智哉 /2021年10月18日)


<ダイジェスト映像>


2021年8月7日


去る7月7日、2年ぶりにすみれのCDアルバムが発売となったが、今回は初となる2枚同時リリースだ。
購入者からは「音に深みが加わった」「優しさの中に力強さを感じる」等、大変好評を博している。
そしてCDリリースから丁度1ヶ月が経過したこの日、群馬県邑楽町の邑楽町中央公民館・邑の森ホールにてコンサートが行われた。
こちらでは半年に1度の恒例行事となり、4回目の無料コンサートである。

開演して最初の曲は「青い珊瑚礁」、そして「浜辺の歌」を演奏。
透き通るような、しかし芯のある安定した音色である。
今回も司会を担当した青柳美保(通称「ムーちゃん」)とのトークの掛け合いも上々で、円滑に3曲目「あゝ上野駅」と続いた。
そして、高崎市にあるフォーク酒場「青春の詩」の店主でギタリストの高橋晃が登場。
高橋晃の奏でるアコースティックギターの音色に合わせ、演奏する曲は「岬めぐり」。
すみれとは6年前から同じ舞台での出演経験があったが、そこから時を経てこの数ヶ月間でラジオやららん藤岡等で演奏を共にする機会が増え、すっかり息ピッタリの共演である。
それから「また君に恋してる」「あの素晴らしい愛をもう一度」も重奏で演奏し、すみれの第一部は終了。

次なるステージは、ルアン株式会社の阿部稔社長による「スーパーミリオンヘアー」の製品実演紹介。
この8月からすみれが新たに出演するBSのテレビ番組のスポンサーであり、今でこそ大成功者である阿部稔社長もかつては長きに渡る不遇の時代があったというお話とともに、商品の効果も相まって、観る者へ勇気と希望を与えるパフォーマンスとなった。

そして迎えるはゲストコーナー。
今回無料でコンサートを開催するにあたり、ボランティアで駆けつけた仲間の顔ぶれである。

まずは富岡市出身の長谷川直美による歌唱。
しっとりと歌い上げる曲からノリノリの曲まで、その多彩さと美しく晴れやかな歌声で観客を惹きつけ感嘆させた。

続いてすみれの生徒であるG4による尺八演奏。
これまで2年間の努力の成果を発揮し、ソロのパートであっても互いに助け合う姿からは絆の深さが伺え、感動を呼ぶステージとなった。

最後のゲストは津軽三味線奏者で歌手の澤田慶仁。
熟練したテクニックの演奏、力強くも柔和な歌声、そして繰り広げられる軽快なトークで、会場を大いに沸かせた。

そしていよいよ最終コーナー、すみれの本日二度目のステージだ。
澤田慶仁からバトンを受け、同じく津軽三味線奏者歌手である松村和子の「帰ってこいよ」、すみれを手厚く支援する協賛者へ感謝の意を込めて「君といつまでも」「津軽海峡冬景色」
そして「テネシーワルツ」、最後に相応しい「ラストダンスは私に」を演奏した。
それでも冷めやらぬ喝采を受け、アンコール曲として「上を向いて歩こう」で終演となった。

これまでも演奏力で目覚ましい成長を続けてきたすみれであるが、今回のコンサートでは常に平常心を保ちながら気配りを見せる、特に精神面での成長が感じ取れるものであった。
そしてその精神力が演奏の質にも現れていたと感じられる。

コロナ禍に入り1年半が経とうとしているが、まさに今「第5波」を迎えたタイミングだ。
本公演では検温や座席のソーシャルディスタンス、感染対策はしっかりと行った上で開催されたが、
繰り返される感染拡大に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置、その悪しきループで先が見えないこの時期におかれてこそ、人々にとって活力は必要である。
出演者から観客へ、観客から出演者へ、そして出演者同士、互いが互いに元気を与え合うことのできた、大変有意義な時間となったように思われる。

(著・中村智哉 /2021年8月8日)

<ダイジェスト映像>


2021年4月2日


群馬県前橋市のろばた焼甚六にてすみれ師匠・昌平のバースデーライブが行われた。
ここは2019年12月20日のディナーショーとラジオ収録の後の打ち上げで偶然立ち入った店なのだが、昌平の演奏に合うレトロな雰囲気だということを思い起こし、この度すみれが取り付けたのだ。
この前日4月1日は、桜の花見をしながら演奏会を行いたいという強い願望のもとすみれ自らがブッキングし前橋公園のステージにて野外ライブを行い、気持ちが盛り上がり約4時間にも及ぶライブになったとのことだが、すなわち連日のすみれプロデュースでの企画である。
昌平の誕生日ということで「今日の主役です」というタスキを掛け、リクエストをとって昌平の単独演奏を聴かせるのもすみれによる演出だ。

最初の曲は「リンゴの唄」、そして今の時期に合った「夜桜お七」が演奏された。
続いて「風」「みだれ髪」「乾杯」「吾亦紅」「コンドルは飛んで行く」「時代」「もののけ姫」と演奏していったところで昌平は「だんだん本意気になってきました」と語った。
それから「また逢う日まで」「LET IT BE」「島唄」と様々な時代、ジャンルの曲がリクエストされていき、最後の曲は飲み屋のイメージにピッタリな「舟唄」であった。
演奏を聴きながら順々に提供される焼き魚やじゃがバタ、焼きおにぎりなどのろばた焼き料理は味わい深く、尺八の音色にも非常にマッチしており、会場の雰囲気も和やかで温もりで満ちている。

約1時間半の演奏会を終えたところで、すみれ「ハッピーバースデーを自分でやります?」昌平「やるよ」とお茶目なやりとりで笑いを誘った。
昌平が「Happy Birthday to You」を演奏しているところでバースデーケーキが運ばれたが、すみれが手作りで用意したものとのことだ。

やりたいと思ったことを計画し、準備を進め実行に至るまで、すみれの主体的な行動力が着実に身に付いている。
そしてすみれの意向を汲み、しっかりとサポートする昌平の懐の深さも尊いものである。
お互いを貶しあっていてもその根底では尊重し合う、なんとも素晴らしい子弟関係だ。

さて、現在すみれは昌平に教わりながら、カラオケ音源の作成に着手し始めている。
1曲仕上げるまでにはまだまだ遠い道のりだそうだが、8月に開催される予定のコンサートにて披露できることを目標としており、乞うご期待である。

(著・中村智哉 /2021年4月3日)

<ダイジェスト映像>


2021年3月7日


群馬県前橋市の寿司屋・初日総本店にてすみれのランチタイム・バースデーライブが行われた。
すみれの誕生日当日の3月4日はFacebookにてライブ配信が行われたが、改めての誕生日祝いである。

開場するとまずはお寿司をメインとするお料理が振る舞われ、しばらくすると参加者約30名分をすみれが手作りしたカップケーキが配られた。
すみれがこだわって選んだというイチゴの乗った、スポンジケーキと生クリームに小枝が添えられたものだ。
そしてお馴染みの赤いドレス姿のすみれが登場。
ご挨拶とともに、自身と、同じく3月生まれの参加者に向けて「Happy Birthday to You」を演奏した。

今回はリクエストをとっての演奏だったが、参加者が事前にカードに記入したものをすみれがランダムに引いての選曲で、最初の曲は「恋におちて -Fall in love-」そして「春よ来い」「リンゴの唄」と続いた。
カードを選ばれた参加者がマイクを持って挨拶をしたり、すみれにプレゼントを渡したり、和気あいあいと進行していった。
曲間には演奏曲の知識を語ったり、ところどころシニカルなジョークを交えたり、トークも軽快だ。
それから「翼をください」「なごり雪」「小指の思い出」「野に咲く花のように」「ルパン3世のテーマ」「大きな古時計」「伊豆の佐太郎」「哀愁波止場」「ここに幸あり」「雪が降る」「襟裳岬」「ハナミズキ」と、計15曲のリクエストを演奏し、約100分間のステージを終えた。

昨年まではこのようなランチ・ディナーショーはかなりの場数をこなしていたが、今年に入ってからの演奏活動はもっぱらカメラに向けてのライブ配信、そして先月はホールでのコンサートもあったが、今回のように観客と近い距離で目を合わせての演奏は久々で緊張があったとのことだ。
なるほど、所々演奏に力んでしまうような場面もあり本人なりに思うところもあったかと思うが、その場の全員が楽しみ、満足できたとても良い会であったように感じられる。
祝われる立場でありながら手作りケーキの他にも参加者1人1人にメッセージカードを書いたりとおもてなしの心でもって周到な用意で臨み、舞台を構成しやり遂げたことは大変素晴らしく、素直に拍手を贈りたい。
プロデューサーとしての今後の成長と活躍も益々楽しみである。

(著・中村智哉 /2021年3月7日)


2021年02月21日


群馬県邑楽町の邑楽町中央公民館・邑の森ホールにてコンサートが行われた。
こちらでは2020年2月9日、8月30日と開催しており、半年に1回、3度目の公演である。

世の中は未だ自粛ムードが漂い、演奏活動をする者には氷河期が続く。
しかしこの日の邑楽町の最高気温は22℃に達して2月とは思えない陽気となり、お天道様もこの時を待っていたと言わんばかりの善き兆しだ。
今回は初となる、すみれ自身がプロデュースをしてプログラムを組んでのコンサートとのことで、この一足早い春の訪れにすみれが満を持して咲き誇るというわけだ。

始めの挨拶を舞台袖からすみれが読み上げて開演。
最初の演目は「喝采」、「いつものように幕が開き〜」という開幕に相応しい歌詞を朗読するのは今回司会を務める青柳美保(通称「ムーちゃん」)だ。
前橋市でアナウンサーやラジオパーソナリティ、カフェを開業するなどの活躍をし、これまでにすみれとコンサートやラジオで幾度も共演をしてきた間柄である。
そして白いドレス姿のすみれが登場し同曲を演奏をし、それから青柳美保との掛け合いでのトーク。
話をうまく引き出す青柳美保のMC力はさることながら、最初からいつになく落ち着き、そして饒舌なすみれである。

2曲目の「天城越え」を演奏、次は「夢一夜」、青柳美保の朗読からのすみれの演奏だったのだが、師匠・昌平が舞台袖からバック演奏を務めた。
続いて「いい日旅立ち」を終えると、ここでも裏でハーモニーを演奏していた昌平が姿を現し、3名でのトークが行われたが、これぞ三つ巴、隙のない息の合った掛け合いだ。
それから「虹と雪のバラード」「越後獅子の唄」「長い夜」「月の沙漠」「荒城の月」と、合間にMCを入れながら、ソロや昌平とのハーモニーでのすみれの演奏で順調に進められていった。
「宵待草」では曲前にすみれが独奏をしたが、昌平の技を着実に習得している様が窺えた。
そして昌平とのハーモニーで定番曲である「コンドルは飛んで行く」「鈴懸の径」ですみれの出番は一旦終了。

次なる出演者は今回のゲスト、富岡市でプロ歌手として活動をしている長谷川直美だ。
過去にすみれとコンサートでの共演経験があり、すみれを応援しているファンの1人でもあり、こちらもお馴染みの仲間である。
しっとりと歌い上げる「空港」「津軽のふるさと」から始まり、一変してアップテンポな「亜矢の祭り」「焼酎天国」では観客の手拍子とともに体全体でリズムを取りながら歌い、会場を盛り上げた。
この方の歌唱は優しさの中に力強さがあり、高音の伸びやビブラートが美しく、すんなりと耳に馴染んで聴き入ってしまう力がある。
最後に「河内音頭」を歌うと、すみれと青柳美保も登場し3人でキャンディーズのコピーをして「春一番」を歌うサプライズ演出があった。

続いては急遽出演が決まった澤田慶仁、津軽三味線奏者兼歌手の登場だ。
まずは人気の高い自身のオリジナル曲「東京の月」を披露した。
この方は人の懐に入り込むような津軽なまりのトークをしたかと思えば圧巻の演奏と歌唱でビシっと決める、人を惹きつけて止まない真のエンターテイナーである。
それからすみれと昌平も登場して「泊大漁ソーラン」で共演をした。
日頃から親交が深くすみれが兄貴と慕うだけあって、やはり息の合ったトークと演奏である。

一旦休憩をはさんで、次は尺八の生徒さんのコーナーだ。
すみれの生徒である邑楽町の「G4」の「あゝ人生に涙あり」「いい日旅立ち」を披露した。
定期的なすみれの指導とともに、個人個人でも練習を続けており、前回よりも大幅な上達を見せ、しっかりとメロディーを捉えた演奏となった。
そして昌平の生徒2名がそれぞれ「あの鐘を鳴らすのはあなた」「恋人よ」、そして「昴」「涙そうそう」を披露した。
尺八の古典演奏で長年の経験を積みながら、数年前に昌平のポップス尺八に入門したとのことで、すみれとも昌平とも異なるその音色に、すみれもいい刺激を受けたことだろう。
こちらのコーナーではすみれが司会を努めたが、堂々とそつのない進行であった。

これにて昼の部は終了。

夜の部は観客に曲目リストが配布されリクエストをとっての演奏会で、こちらではゲストの出演はなく、すみれと昌平の2人舞台。
すみれは赤のチャイナドレス、昌平は赤シャツに金のベストという煌びやかな装いだ。
「帰ってこいよ」「風雪ながれ旅」から始まり、そしてすみれの心に深く刻まれてるという「長崎の鐘」等を演奏した。
昼の部の大波を経てのこの会には何の不安もなく、このリラックスムードもまた良い雰囲気だ。
次第にリクエスト数も増え、終盤には捌き切れない数のリクエストの手が挙がり、盛況のまま計16曲のリクエストに応え、最後に「宵待草」で締めくくった。

今回は「大きな成長を遂げたすみれを是非見て欲しい」と予め昌平が銘打った公演だったのだが、初期の頃からすみれを知る者ならば誰もが頷ける内容であったと言えるだろう。
演奏力はもちろん、トーク力や場面場面での対応力など、舞台出演者としての技量が全面的に上がっている。
そして舞台に立つまでの構成や準備にも携わったことで、その要領も身に付けるとともに更なる課題も見出されたことであろう。

すみれのこの大きな進歩には背景がある。
コロナ禍で活動の休止を余儀なくされたことで、すみれは今年に入ってから約1ヶ月半ほぼ毎日、17LIVEというライブ配信ツールにて演奏配信を行なっている。
自宅からの配信のため誰の力を借りることなく、セットリスト、演奏、トークを1日2回各1時間こなしてきた。
実践量はもちろん、そのための練習量も格段に増えているのだ。
すみれのレパートリーは約200曲あったのだが、カラオケのある残り約100曲をこの2021年に全て習得するという目標を掲げて、日々努力を重ねている。
ピンチをチャンスに変えるこのポジティブ力こそ、今のすみれの最大の武器と言えるだろう。

冬の寒さの中でも懸命に地中で根を張り巡らせ、春の訪れとともに花を咲かせる、名実ともにまさしく「すみれ」なのだ。

(著・中村智哉 /2021年2月22日)



<ダイジェスト映像>





2020年12月20日


群馬県伊勢崎市の和食居酒屋・て料理や うちの茶の間にて忘年会ライブが行われた。
うちの茶の間はすみれがCDデビューする前から演奏活動をしていた場所であり、長きにわたってのラジオ番組「すみれのオープンラウンジ」へのスポンサーでもある。

料理が運ばれるとともに開演し、リクエストをとり「時の流れに身をまかせ」から演奏が始まった。
この日は前橋市のショッピングモール・けやきウォークにて公開ラジオ収録で既に演奏をしてきており、始めから好調な音色だ。
しばらくはすみれが1人で演奏をし、5曲目の「イエスタデイ・ワンス・モア」から師匠・昌平も加わり、演奏に更なる深みが添えられ、観客はその音色に酔いしれた。

すみれが未習得の「アヴェマリア」「群青」のリクエストには昌平の独奏で応え、すみれは奏法を覚えるべく真剣に聴き入っていた。
「あずさ2号」では演奏にチャレンジするが、これも未習得で昌平にバトンタッチしたが、すぐさま割り込んで音を鳴らし、笑いを誘った。
それからは一緒に演奏し、公開レッスンとなった。
この飾らない姿こそ、すみれがファンを虜にする1つの由縁であろう。

20曲目の「喝采」をもって演奏は終了、それからは忘年会となり、群馬県は自粛要請もかかっているため、長居はせずにお開きとなった。
お馴染みのお店でお馴染みのメンバーに囲まれ、すみれも常に自然体でおり、すみれらしさが存分に発揮された会であった。

さて、今年はコロナ禍により活動も限られていたが、10〜12月の1クール3ヶ月にわたりBS12「ルアンミュージックタイム」にて演奏番組が放送された。
全国の広範囲にわたりすみれが知られる好機となったが、昌平は「すみれには生でなければ伝わない魅力がある。是非生で聴いてほしい。」と語る。
今は大々的に活動をできない状況にはあるが、番組ですみれを知った方々にもいつか生演奏をお披露目できることが切に願われる。

そして12月1日には安中観光大使ということもあり、安中警察署の1日警察署長を務めた。

この時の様子は群馬テレビで放送され、放送内容はYouTubeでもご覧いただける。
この活動を経てすみれは「制服に身を包むと気持ちまで不思議と変わり、パトカーに署長さんと乗車すると、皇室にでもなったような気分でした。ご挨拶、演奏、交通安全の呼びかけなど初めてづくしでしたがとても貴重な経験をさせて頂き感謝しています。」と感想を述べた。

(著・中村智哉 /2020年12月21日)

<ダイジェスト映像>


2020年11月7日


群馬県桐生市のPLUS+アンカーというカフェの敷地内で「きものファッションショー」が開催された。
桐生市はかつて織物産業で栄えた街であり、その伝統文化に触れられるイベントだ。
着物姿の約50名の参加者がレッドカーペットのランウェイを歩き、それに合わせて尺八演奏をするのが今回のすみれの役目である。

すみれは黒を基調にユリの花模様があしらわれた着物姿で登場。
会がスタートすると、まずは「あの素晴らしい愛をもう一度」を演奏した。
立冬のやや冷える気候であったが、屋外での演奏はお手の物、非常に澄み切った音色だ。
着物姿の参加者が歩く様子を見守りながら、「天城越え」「ベサメ・ムーチョ」「365日の紙飛行機」「ママがサンタにキスをした」「糸」「あゝ人生に涙あり」の計7曲を終えると、すみれ自身もランウェイを歩いて舞台に花を添えた。

着物に尺八、ともに和の伝統文化でとてもマッチしており、すみれの演奏は会の盛り上がりに一役を買っていた一方で、いつもの演奏では自身がメインとして立っているが、今回観客の視線が注がれていたのは専らランウェイを歩く方々のほうであった。
その環境に何を感じたかはすみれ本人のみぞ知るところだが、柔和の表情からは会場の雰囲気を存分に楽しんでいる様子が伺えた。
いずれにしても新たな経験を積んだことで、今後にもプラスになったことだろう。

(著・中村智哉 /2020年11月9日)

<ダイジェスト映像>


2020年9月26日


当サイトを開設して9月26日でちょうど1周年、そしてファンクラブ「ポップス尺八すみれ会」が発足して10月1日で1周年となり、それを記念してのディナーコンサートが群馬県高崎駅前のホテルメトロポリタン高崎にて行われた。
この施設のパーティー会場はすみれと師匠・昌平が何度か営業で演奏をしたことのある馴染みの会場とのことだ。

開場するとコース料理とともに、昌平とゲストのピアニスト・堀口順子のジャズセッションが披露された。
つい先日もスイング・セカンド(主音求Ⅱ)という群馬県榛東村のジャズ喫茶で2人は共演し、引き続きの参戦となった。
打ち合わせなしのアドリブで息ピッタリの演奏をし、食事をより華やかに盛り立てた。

食事が落ち着いてきたところで赤いドレス姿のすみれの登場だ。
まずはすみれのソロで「ラストダンスは私に」、続いて昌平とのハーモニーで「テネシーワルツ」が演奏された。
それから過去の舞台のエピソードトークをしながらその時に演奏した曲「北の漁場」「大阪ラプソディー」を披露し、「小指の思い出」「恋人よ」「みだれ髪」「また君に恋してる」「メリージェーン」と、すみれがメインとなり演奏が進められた。
すっかりお馴染みとなった子弟漫才も炸裂しながら、非常に円滑な運びで会場の一体感を作り上げていった。

そして堀口順子が登場し、トリオでジャズ曲「サマータイム」を演奏すると、最高潮の盛り上がりを見せた。
すると昌平の“無茶ぶり”ですみれもピアノとのデュエットでアドリブに挑戦することになった。
演奏前は不安を見せたものの、始めるとなんの迷いもなきように見えるほどに堂々と、ピアノの伴奏に合わせながら旋律を紡ぎ出し、難なくこなしてしまった。
終えると一言「楽しいですね」と朗らかに感想を漏らし、昌平も称賛の意を表した。

最後に再び昌平と2人で「宵待草」「川の流れのように」「鈴懸の径」を演奏し、終演となった。
すみれの出演は1時間余と比較的短めであったが、非常に内容の濃いものであった。
アドリブ演奏という新たな扉を開き、これから更に表現の幅も広がっていくであろうことが顕在したのはあまりにも大きい収穫だったと言えるだろう。

さて、いよいよ10月2日より毎週金曜日午前6:25からBS12での演奏番組が始まる。
ファンクラブが2年目に突入するともに、非常に望ましい形で新たなスタートを切ることとなった。

(著・中村智哉 /2020年9月27日)

<ダイジェスト映像>

<サマータイム〜即興演奏>


2020年8月30日


群馬県邑楽町の邑楽町中央公民館・邑の森ホールにてコンサートが行われた。
コンサートホールでの公演は同所での2月9日以来、半年振りである。
前回はリサイタルという形であったが、今回は師匠・昌平との共演だ。

ソーシャルディスタンスを保つために今回の収容人数は客席の約半数となり、本公演開催の公表後早い段階でチケットは品切れとなったという。
そして迎えた当日、開演より1時間以上早くから多くの来場者が見え、自粛期間を経てこの時が来ることを大いに待ちわびていたことが伺え、この日36℃超の猛暑を凌駕せんばかりの熱気に包まれた。

開演するとまずは「サボテンの花」の演奏と共に幕が開かれ、晴れやかな淡いブルーのドレス姿のすみれの登場だ。
いつものようにステージを動き回ることなく、中央に佇んでの演奏だ。
とは言え、表情は柔和で演奏もクリアかつ伸びやかで、非常に安定している。
一曲目を吹き終えると早速感極まり、涙ながらの開幕MCとなった。
引き続き、夏の終わりの時節に合わせ「少年時代」、そして「浜辺の歌」「真赤な太陽」「真夏の果実」と夏の曲を続けて披露した。
続いての女性歌手曲のコーナーは、リズミカルな曲「ラストダンスは私に」から始まったが、これがすみれのイメージにピッタリ合う曲だ。
そして「時の流れに身をまかせ」に続き演奏した「ひこうき雲」では、2番Aメロの冒頭をサビの旋律を奏でてしまうというハプニングがあったが、お茶目な笑顔を見せたかと思うと進行を見失うことなく即座に持ち直し、その冷静さと気持ちが前のめりなポジティブさからはむしろ芯の強さが伺えた。
それから「秋桜」「糸」を演奏し、すみれの独奏はあっと言う間に終えた。

次なる演目はすみれの教え子の「G4」、地元邑楽町近隣に住まう4人組の演奏だ。
「G4」は昨年11月24日にステージデビューを果たしたが、当時は塩ビパイプ製の練習用の尺八であり、竹で作られた本物の尺八でのステージは今回が初めてとなる。
「あゝ人生に涙あり」を演奏したが、練習時の力が発揮できていなかったのだろう、ピコピコハンマーを手にしたすみれが4人に鞭を打って、2番3番は援護で共に演奏した。
続いての「昴」では4人の息が合いしっかりと形になったが、4人それぞれのソロパートになるとより緊張が高まっている様子であった。
「G4」は尺八を習い始めておよそ1年半なのだが、セカンドライフで努力を重ねる姿が感動を呼び大きな拍手が送られたが、それと同時に尺八歴6年半のすみれがいかに脅威的な成長を遂げてきたかが伝わったことだろう。

さて、10月からは毎週金曜日AM6:25にBS12にて5分間のすみれの演奏番組が始まるが、その発起人でありスポンサーであるルアン株式会社の阿部稔社長がここでステージに上がり、「スーパーミリオンヘアー」の製品実演紹介をした。
髪のボリュームや色合いを瞬時に変えてしまう魔法のような製品に、多くの観客が興味を引かれた様子であった。

続いてはすみれの師匠・昌平の演奏だ。
「名月赤城山」「かえり船」「涙の連絡船」「伊豆の佐太郎」「船頭小唄」「蘇州夜曲」「さだめ川」「天城越え」「悲しい酒」「リンゴ追分」といった昭和の名曲の数々を演奏した。
多くの常連ファンは気付かれたと思うが、いつもと異なり昌平は大きな身振りをしながらの演奏だ。
これまで昌平は固定マイクに向けて演奏していたのを今回はピンマイクを付けていたことに拠るものと思われるが、
『静=昌平』『動=すみれ』という図式を崩し、常連ファンにとっては大きな衝撃を受けたことだろう。
これには、すみれのこれまでの飛躍は非常に目覚ましいものであるが、それに慢心するべからず、昌平自らがすみれを鼓舞し道しるべであらんとする確固たる威厳を見せしめたものだと、筆者は個人的に感じた。

そしてアシンメトリーの赤いドレスに衣装チェンジしたすみれが登場し、いよいよクライマックス、2人の共演のブロックだ。
「いい日旅立ち」「また君に恋してる」「夢一夜」「あの素晴らしい愛をもう一度」「宵待草」「矢切の渡し」と流れるような演奏で、美しいハーモニーが開場を感動に包んだ。
最終演目「上を向いて歩こう」を手拍子とともに演奏すると、アンコールが巻き起こり「鈴懸の径」で名残惜しくも終演を迎えた。

公演時間は2時間50分にも及んだが、時間が凝縮されているかのように円滑で大変素晴らしい舞台だった。

途中のトークですみれは、前回のリサイタルを迎える数日間は眠れないほどガチガチに緊張していたが、今回はぐっすり眠れたと語り、笑いを誘う場面があった。
それを頷けるほどの落ち着きぶりで、持ち前の天真爛漫さや気の強さが存分に現れ、演奏でも持てる力をフルに発揮できていたように思う。
コンサートホールで大勢を前にしての演奏は半年間のブランクがあったにも関わらず、確実にステップアップを遂げている。
前回以上にすみれの魅力が観客に伝わったことだろう。

尚、この公演ではテレビカメラの撮影が入っており、邑楽町周辺地域のケーブルテレビで放送される予定だ。

(著・中村智哉 /2020年8月31日)

<ダイジェスト映像 Short Ver.>

Long Ver.(約33分)はこちら

2020年7月24日


群馬県前橋市の寿司屋・初日総本店にてディナーショーが行われた。
こちらでのライブは3回目となり、今後も定期的に行われる予定だ。

開場すると会席料理が振る舞われ、しばらくしてまずはすみれの師匠・昌平が登場。
挨拶のトークとともに2曲演奏して場を温め、観客の食事も落ち着いたところで、すみれの登場。
昌平、すみれともに浴衣姿で、長引く梅雨を吹き飛ばすかのような、夏の活力を感じさせる装いだ。

お互いを罵り合いながら漫才のようなトークで笑いを誘い、「仲が悪い」とは言いながらもやはり息はピッタリだ。
話の流れから始めに「マイウェイ」を演奏した。
それからは昌平が前振りを演奏して曲のきっかけを作ったり、すみれが選曲した曲を演奏していった。
多くの曲では、ワンコーラス目を一方が吹き、ツーコーラス目はもう一方が吹き、そして最後に重奏するというなんとも贅沢な編成だ。
トークでは毒づきながらも、アイコンタクトをとりステージ中央を譲り合いながらお互いを立てている様子からは、弟子としての信頼感、師匠としての信頼感が読み取れる。

すみれは基本的に演奏曲の原曲を聴くことで覚えているとのことだが、唯一「メリージェーン」は昌平の演奏を聴いて覚えたと語り、演奏した。
演奏しながら時折師匠の方へ目を向け、バトンタッチ後も師匠の演奏を真剣な眼差しを向け、リアルタイムで学びとろうとする姿が印象的であった。

そして、映画ロミオとジュリエットの劇中歌「What is a Youth?(若さとは?)」は音域が広く非常に難しい曲だが、すみれが尺八を始めて間もなくの頃に習得したという。
当初は難なく演奏していたとのことだが、次第に難しさを知ってしまったとのことで、今回の演奏でも非常に力が入っている様子が伺えた。
恐らく経験を積んで表現の幅が広がったことにより、思い描く理想の形があって、それに近付こうとしていっているのだろう。
この曲は既に演奏できるからと慢心せず、更なる高みを目指そうとしていることが、ここに見て取れる。

終盤は美空ひばりの数々の曲を演奏した後、余興としてジャンケン大会を行い、勝ち残った方にはすみれの大判写真やすみれ・昌平のCDアルバムが贈呈された。
最後に2人がパートを分けて演奏する定番の「鈴懸の径」で締めくくると、更に観客から「南部蝉しぐれ」のリクエストがかかり、アンコールに応えた。
2時間程の演奏会となり、演奏曲は合計で23曲にも及んだ。
長丁場であったが終始和やかな雰囲気で、所々で手拍子やペンライトを振る様子や尺八に合わせて合唱する観客もおり、大変盛り上がった会であった。

近頃はFacebookでの映像配信やラジオ収録が主な活動で、前回の同会場での公演も含め1人での演奏が多かったが、今月16日はFacebookでの映像配信がすみれ・昌平合わせて100回目となる記念として共演での配信となった。
そして自粛期間後も道の駅ららん藤岡で数度にわたる共演を行い、今回に至る。
ブランクがあったにも関わらず、演奏とトークでの掛け合いは相変わらず絶妙にして唯一無二。
今後も、すみれ個人の成長はもちろん、昌平と共演の際に発揮される力にも注目していきたいところだ。

(著・中村智哉 /2020年7月25日)

<ダイジェスト映像>

2020年6月20日


群馬県前橋市の寿司屋・初日総本店にてランチタイムライブが行われた。
こちらでのライブは3ヶ月ぶり、2回目となる。

さて、3月より各所での活動が自粛となり、以来すみれと師匠・昌平はFacebookにて映像配信で演奏活動を行ってきた。
6月に入り規制が緩和され、道の駅ららん藤岡で6月7日(日)、6月14日(日)の2回フリーライブを行い、ようやく生演奏での活動再開を果たした。
そして迎えた本日、ビジネスとしてのライブコンサートは自粛後初となる記念すべき舞台である。

開場するとまずは会席料理が振る舞われ、食事が落ち着いたところですみれの登場。
“もう一度”皆様と顔を合わせて演奏ができるという喜びを乗せて「あの素晴しい愛をもう一度」の演奏で開演だ。
今回は千葉県からの観客が見えているということで千葉県(松戸市)にちなんだ曲「矢切の渡し」が2曲目に披露された。
そして近況報告やお馴染みの顔ぶれを紹介するトークをしながら、その方の好きな曲やトーク内容に関連する選曲で
「北国の春」「銀の雨」「イムジン河」「時の流れに身をまかせ」「遠くで汽笛を聞きながら」「小指の思い出」「恋におちて -Fall in love-」「達者でナ」「雪が降る」「みかんの花咲く丘」「あゝ上野駅」
と展開していき、最後に「川の流れのように」で締めくくった。

4月上旬から約2ヶ月間、客前での演奏が一切できなかったブランクがどのような影響を与えるだろうかと懸念もあったが、巧みに流れを作った進行と流暢なトークからは、自粛期間にも着実に成長を遂げていたことを感じさせるステージであった。
筆者の個人的な感想であるが、特に2曲目の「矢切の渡し」では演奏の能力も格段に上がっていることが感じられた。
すみれの尺八はもとより澄んだ優しい音色をしているのだが、そこに深みや趣きが加わった印象であった。
終始緊張していたとのことだが、序盤ではそれを全く感じさせない堂々たる立ち振る舞いであった。
ブランクもあり体力や集中力がやや途切れたのだろうか、中盤からは緊張が表に出てやや表情が強ばるような場面も見受けられた。
それでも1時間余を1人で完璧にこなし、大変素晴らしいリスタートを切れたのは間違いない。

前進しかしてこなかったこれまでの6年間とは裏腹に、自粛生活の中、立ち止まることで自身を見つめ直す時間や、今後何ができるのだろうかという危機感により、今までベールに包まれていた新たな扉が開かれたといったところだろうか。
また、配信での演奏という今までになかった経験を積んだことで身に付けたものもあったことだろう。
自粛によって失ったものは計り知れないが、一方で自粛なくして得られなかったものも多かったということがわかる。
今後の活動で失った時間を取り戻すとともに新たに身に付けた力との相乗効果が生まれ、更なる発展が見られることだろうと期待せずにはいられない。

(著・中村智哉 /2020年6月20日)
<ダイジェスト映像>

2020年4月5日


4月2日にすみれの師匠である昌平が71歳の誕生日を迎え、そのお祝いとして本日4月5日、群馬県前橋市のコスミック・カフェ&レストランでバースデーパーティーが開催された。
本日は強風に見舞われたため屋外での開催は断念され、代わりの舞台となったカフェ&レストランの離れの建物は、臨む景色がほとりに桜の咲き誇る利根川や群馬県庁の眺望が見渡せる絶景で、室内も自然光が降り注ぐテラスさながらの雰囲気で、素晴らしいロケーションだ。
この場での演奏はすみれ、昌平師匠ともに初となるが、今後も定期的にライブを行う予定とのことだ。

ランチ前、開演するとまずは昌平師匠が単独で昭和から平成初期の歌謡曲を中心に、30分余演奏とトークが披露された。
そしていよいよすみれの登場。
始めに「Happy Birthday to You」を演奏し、昌平師匠との共演で2人を象徴しているかのような曲「花と小父さん」、そして「夢一夜」「いい日旅立ち」「宵待草」「鈴懸の径」を演奏した。

そしてカフェ&レストランへ移動して参加者とともにランチ、それからすみれが用意したバースデーケーキが振る舞われた。
一息ついたところで、第二部の演奏会が開演された。
すみれのソロでまずは「Yesterday」が演奏し、食後のまったりとした雰囲気に合わせ「星に願いを」、利根川の見えるロケーションからリクエスト曲「川の流れのように」、新レパートリー曲「亜麻色の髪の乙女」を披露した。
その時外の風は益々強さを増していたため「風(はしだのりひことシューベルツ)」が演奏されたが、まだ練習中の曲で不完全であった。
同曲を昌平師匠がお手本として演奏し、それに合わせすみれも演奏する公開レッスンとなった。
続いて「『いちご白書』をもう一度」、最後に「上を向いて歩こう」が演奏され、会はお開きとなった。

第一部の洗練された演奏は大変素晴らしいものだったが、第二部の和やかな雰囲気の中、不慣れな曲を自然体で演奏する様子もまた乙なものであった。
このように成長していく様子も見られることが、今のすみれの魅力なのである。

今回は初めてすみれが主催するイベントであったが、実質的な構築の多くは昌平師匠によるものであった。
これは、すみれが新たな関門に踏み入れたことを意味する。
演奏や舞台上での立ち振る舞いはもちろんのこと、いかにそれを栄えさせる場を演出をするかというプロデュース力が以後求められることとなったのだ。
すみれ自身も痛感していることと思われるが、すみれにとって昌平師匠から学ぶべきことはまだまだ、あまりにも多いと言えよう。

さて、現在世の中は感染症の騒動で渦巻いており、尺八の演奏会も大々的にはできない状況に陥っている。
そんな時だからこそと、現在昌平は連日20:30より尺八奏者 昌平のFacebookアカウントで事務所スタジオでのライブ配信を行っている。
すみれのライブ配信もファンクラブ「ポップス尺八すみれ会」の会員限定で時折行われている。
ご興味のある方は、是非ともチェックしていただきたい。

(著・中村智哉 /2020年4月5日)

<ダイジェスト映像 Short Ver.>

Long Ver.(約23分)はこちら

2020年3月20日


群馬県前橋市の寿司屋・初日総本店にてディナーショーが行われた。

前日は東京都中央区銀座のワインスタジオ・ルアンにてディナーショーを行い、連日の公演である。
ルアンといえば昨年12月20日のクリスマスディナーショーに代表取締役社長の阿部稔氏が訪れたことからの縁で東京での毎月のライブが決まり、これで2回目となる。

そこでは街行く人々へもモニター越しに公開され、その演奏に誘われて訪れたお客もあり、大変賑わったという。
今世の中では様々な活動の自粛が命じられているが、やはり人々にとって娯楽は欠かせないものだということがわかる。
こんな時だからこそエンターテインメントの世界ならではの役割があるというはからいで、この2日間の公演ではすみれの師匠・昌平のCDアルバム(10th or 11th)が参加者へ大盤振る舞いされた。

さて、開演されるとまずは昌平師匠の独演とともに会席料理が堪能された。
しばらくして食事が落ち着いた頃、いよいよすみれの登場。
観客は様々な世代の顔ぶれであり、美空ひばりを始めとする昭和の演歌や松任谷由実からAKB48など、自身の選曲やリクエストを受けながら幅広いジャンルの楽曲が演奏された。

そして、プロフィールにあるようにすみれはアルゼンチンタンゴを趣味としているが、今回はすみれが通う教室の先生の姿があり、共に舞う場面も見られた。
昌平師匠が尾崎豊の「I LOVE YOU」を吹くと、演奏に合わせて先生が踊り、夢の共演で会場は大いに盛り上がった。

最終曲として「川の流れのように」が演奏されるもまだ名残惜しく、アンコールに応えて3曲を演奏し終演。

今回もやはり観客の心を確実に掴んでいたが、アルゼンチンタンゴの先生が見えたことにより、すみれは演奏する時の所作においてのプレッシャーがあったという。
直近のラジオ放送でも語られていたことによれば、アルゼンチンタンゴでの学びを通して舞台での振る舞いのステップアップを習得していきたいとのこと。
それは“聴かせる”だけでなく“見せる”、つまりは合わせて“魅せる”こと。
そこにおいての成長も、今後注目するべきところだ。

(著・中村智哉 /2020年3月21日)

2020年3月4日


3月4日はすみれの誕生日ということで、バースデーパーティーが開催された。
舞台は伊香保温泉・お宿玉樹、すみれが尺八を吹き始めて1年程、まだ人前ではきちんと吹けない頃からステージに立って以来今でも宿泊者向けに月3回の定期ライブを行う温泉旅館だ。
すみれ自身が宿泊するのは今回が初めてだという。

いつも演奏しているラウンジにて、参加者へのプレゼントとして用意した盃にて日本酒で乾杯すると、

まずは「Happy Birthday to You」を自身に宛て、そして誕生日を近くするファンクラブ会員2名に宛て計3回披露した。
最初の演目は「愛燦々」であった。
そして「星の流れに」という戦後の激動の中で生まれた曲を演奏すると、その後のトークでは、
戦争の惨劇により祖父の家族構成の歯車が入れ替わったが、しかしその戦争がなければ自身の生誕はなかったと明かされた。
その何とも感慨深いトークに、観客はリアクションもままならないほどすっかり心を奪われていた。
自宅の裏にある竹やぶから尺八を作ろうと思い立ったことから尺八の演奏を始め、類稀な才能を発揮し、そしてその戦後の名曲に触れることになった。
その全てが運命であり必然、まさに“授かり物”だったのだろう。

続いても戦後の曲、「悲しき口笛」「東京キッド」「あの丘越えて」の美空ひばり3曲メドレーを演奏した。
次なる曲は、昌平師匠が前面に立つ「月の沙漠」そして、「上を向いて歩こう」を披露し、最後は戦時中の曲「鈴懸の径」で、あっと言う間に終演を迎えた。

慣れ親しんだ舞台であり、そしてファンクラブ会員である馴染みの顔ぶれ。
それらが一堂に会するのは逆にギャップがあり戸惑いがあったとのことだが、トークも含め、そのパフォーマンスはとても素晴らしいものだったと思う。

その後の宴会で語られたことによれば、昌平師匠が一緒に演奏を始めると負けん気が湧き上がり、張り合おうとすることで100%の力を発揮できるようになるという。
師匠を目標像として邁進することはもちろんあるべき形であろうが、まずは100%の自分をライバルとして、昌平師匠との共演がなくとも常に100%を発揮できるようになることが当面の課題であろうか。

しかし、すみれと筆者との親交は一年余であるが、その短期間の中でも技能的にも精神的にも成長が目に見えてわかる。
そして今もまだ発展途上、その伸びしろは計り知れない。
やはり今後も目が離せないというものだ。

「すみれ」になって6歳ということで、ロウソク6本のバースデーケーキ

(著・中村智哉 /2020年3月5日)
<ダイジェスト映像>


2020年2月9日


群馬県邑楽町の邑楽町中央公民館・邑の森ホールにて、すみれリサイタルが行われた。

ここ邑楽町は、すみれの教え子である「G4」の本拠地であり、縁深い土地だ。
ちょうど3ヶ月前の2019年11月9日、同所にて行われた邑楽町町民文化祭に出演したことがきっかけで、その日のうちに今回の公演が決まったという。
それからの3ヶ月間は本公演を目掛けての活動だったと言っても過言ではないだろう。
尺八に出会って丸6年、すみれの集大成がここで披露されるとあって、本人やファンの期待感と緊張感もひとしおだ。

開場前から多くの観客で賑わい、会場外は北風吹きすさぶ寒い中にも関わらず長蛇の列ができていた。
そして客席は見事満席となった。

昌平師匠の前説、そして事前録音された本人コメントとともに開演され、純白のドレスに身を包んだすみれが登場。
最初に演奏されたのは「青い珊瑚礁」、続けて「いい日旅立ち」「また君に恋してる」であった。
客席から見る限りは堂々たる演奏に感じられた。
しかし舞台袖から見守っていた昌平師匠の目は鋭く、すみれの機微を感じ取っていた。
3曲終えて昌平師匠のサポートMCが入ると、張り詰めた気持ちが一気に解けのだろう、すみれは緊張を露にした。
開演前は気持ちの余裕がありリラックスしていたという。
にも関わらず、満員の客席を前にしてか、自身の集大成を全身に感じて気負ったためか、いずれにしても「舞台の魔物」に襲われたのだろう。
しかし昌平師匠とのトークで緊張が緩和され、次なる中島みゆきの2曲「時代」「糸」の演奏では先ほどより身振りが大きくなり本調子のスイッチが入った。

一度舞台袖にはけると昌平師匠の冗談を交えたMCで場が繫がれ、「赤いランプの終列車」の演奏とともに紺色のドレスを纏ってすみれの再登場。
「別れの一本杉」「あゝ上野駅」と続き、セリフ(すみれによる録音)から入る新レパートリー曲「東京だよおっ母さん」を演奏した。
そして改めて昌平師匠とのトーク。既にすっかり落ち着いた様子で、お互いを弄り合う子弟漫才が披露された。
引き続き「高校三年生」「上を向いて歩こう」を演奏すると、
スナック「太田駅」のママ、すみれの教え子4人組「G4」、ファンクラブ「ポップス尺八すみれ会」会長を務める安中市観光機構の大塚弘通氏、すみれが時折館内演奏を行う温泉旅館「万座温泉・日進舘」の仲居であるファンの方、「G4」のリーダー・石井正明氏のお姉様より花束・プレゼント贈呈が行われた。

そして舞台はクライマックス、昌平師匠との共演だ。
「宵待草」「荒城の月」「コンドルは飛んでいく」の3曲が披露された。
昌平師匠が力強い独奏した際の、すみれの少々悔しげな表情も印象的であったが、両名によるハーモニーは息を飲むような実に洗練されたもので、会場は感動に包まれた。

再度すみれが舞台袖にはけ、昌平師匠による演奏と自虐トークでのエンターテインメントで場繫ぎがされると、トレードマークである赤いドレス姿のすみれが登場。
いよいよプログラムの最終ブロックだ。
まず演奏されたのは北島三郎の「まつり」「北の漁場」「風雪ながれ旅」の3曲。
すっかりこの舞台を自分のものにしており非の打ち所のない演奏であったが、その目には熱いものがこみ上げていた。
感極まりその後のトークはままならない様子であったが、観客の激励を受けながらやり遂げ、次なる演奏は美空ひばりの「愛燦燦」「真赤な太陽」「哀しき口笛」「東京キッド」「あの丘越えて」の5曲がメドレー形式で披露された。
そして「川の流れのように」でのエンディング。演奏とともに客席を回り、退場へと向かった。
終盤には演奏もできないほどの号泣であった。
しかしその様子も相まって会場全体が一体感を成し、感動に渦巻いていた。

その涙は何を意味していたのだろうか。
過去(これまでの道のり)を振り返ってか、現在(大勢の方々に支えられていること)を想ってか、未来(これから待ち受ける試練や結実)を見据えてか、あるいはそれらが入り交じってか。
その答えはいずれ活動の中で明らかになることだろう。今は敢えて本人に問いただすことはしたくない。

とにもかくにも、大盛況のまま終わり、今回の公演は大成功だったと言えるだろう。
文字通りのリサイタル(独奏会) が実現できるまでの距離は長く、しかし時間にして短いことと思う。
すみれはそれほどまでにハイペースで歩みを進めているのだ。

(著・中村智哉 /2020年2月10日)
<ダイジェスト映像 Short Ver.>

Long Ver.(約34分)はこちら

2019年12月20日


群馬県前橋市のガレットバー・ロゼルホンマチにて、ディナーショーが行われた。
すみれの単独公演としては地元前橋で初となる舞台だ。

オープニングでクリスマスソングのメドレーを演奏し、それからは観客に配布された曲目リストの中からリクエストに応えて演奏する形式であった。
客席を回り、観客とトークを交わしながら演歌やJ-POP、洋楽など様々なジャンルをこなした。
そして「伴奏(カラオケ)なしでの演奏を」とのリクエストがあると、今年大ヒットしたFoorinの東京2020応援ソング「パプリカ」をアドリブで演奏した。

今回、スーパーミリオンヘアーでお馴染みのルアン株式会社代表取締役社長の阿部稔氏や前橋市長の山本龍氏といった著名人も訪れ、すみれの影響力が広がってきていることも伺い知れた。


筆者の個人的な感想を述べさせていただくと、1時間半という時間の経過を感じることなく「もっと聴いていたい」と思わせる演奏会であったと思う。
しかし、すみれ本人によれば所々戸惑ってしまった場面があったとのこと。
一観客としてはそつなくやり遂げたように感じられたが、更なる高みを目指すプロ意識がそうさせるのだろう。
その自省には、自身がまだまだ過渡期にあり、これからも更なる成長を見せてくれるという確かな信頼がおけるというものだ。

1つ難点を述べさせていただくとすれば、今回は師匠・昌平の演奏がなかったことで、尺八ならではの風が通り抜けるかのような、聴く者の身震いを誘う音が聴かれなかったことだろうか。
とは言ったものの、ディナーショーという場におかれては終始和やかな演奏を魅せてくれたので、これはこれでオーライだったようにも思われる。

そして今回のショーをプロデュースした昌平によれば、本来はリクエストをとることなく、観客の顔ぶれやリアクションを見て“無言のリクエスト”にて選曲して成立させる洞察力が欲しいとのことだ。

来年2月9日には群馬県邑楽町の邑楽町中央公民館・邑の森ホールにてリサイタルが開催されるが、今回の公演を経て得た自身や反省点により着実な前進ができたのではないかと思われる。
リサイタル(独奏会)という言葉に対しすみれは恐れおののきがあると口では言うものの、その眼光は鋭く、並々ならぬ意欲があることは明らかだ。

終演後、その足でまえばしCITYエフエム(M.wave)のスタジオに向かい、公開ラジオ収録が行われた。
その放送は2020年1月3日20時より「Pラジ」にて放送される予定だ。

ラジオ収録メンバーとの記念撮影

ろばた焼甚六にて打ち上げ
店主・ファンクラブ会員・ラジオスタッフと共に


(著・中村智哉 /2019年12月21日)

2019年11月24日


群馬県吉岡町の吉岡文化センターにて、ポップス尺八コンサートが行われた。

先頭はすみれの師匠である昌平が務め、美空ひばりの数々の名曲のメロディを尺八で演奏し、持ち前のブラックジョークを織り交ぜて観客の心をガッチリ掴んだ。
続いては津軽三味線で弾き歌いする澤田慶仁さわだやすひとが民謡やオリジナル曲の演奏とともに津軽訛りの朗らかなトークで観客を惹き込んだ。
場がすっかり暖まったところで、澤田慶仁の曲「泊大漁とまりたいりょうソーラン」で両氏とのコラボレーションにて、いよいよすみれの登場。

それからは40分間すみれの独演。
まずは「ママがサンタにキスをした」を演奏しながら客席を回った。
その後のトークでは関係者やファンへの感謝を語るとともに涙を浮かべた。
そして「大阪ラプソディー」「糸(中島みゆき)」を演奏すると、先日すみれが結婚式にサプライズゲストとしてお呼ばれした名古屋のファンからの花束贈呈、そして「赤いランプの終列車」の演奏後、地元の常連ファンからの花束贈呈があり、そのファンの思い出の曲である「小指の想い出」が演奏された。
続いて演奏されたのは、究極の愛の形が表現されたロミオとジュリエットの劇中歌「What is a Youth?(若さとは?)」であった。

演奏が終わると「私が愛を込めて育んでいるもの」として紹介したのは、自身が先生となり奏法を教示している、定年退職後に尺八を始めた男性4名のユニット「G4」(ジジイ4人組)だ。
G4が演奏するは入門曲の「メリーさんのひつじ」、すみれは終始暖かい眼差しで4名の演奏を見守っていた。

トリを飾ったのはすみれの演奏で「上を向いて歩こう」、観客の手拍子とともに会場が一体となり、歌を口ずさむ様子も見られた。
そして終演。

すみれが音楽活動を通じて培ってきたものの全てが発揮されたコンサートだったのではないだろうか。

公演後、師匠の昌平は「40分間ひとりでやりきった。大きく成長している。」と喜びの意を表し、「次のステップとなるコンサートを行いたい。」と語った。
師が嫉妬すら感じると言わしめるその類稀な才能は折り紙付きである。
加えてこれまでの苦労や努力を物語るその実力もさることながら、それとは別に、舞台に立つ彼女は人を惹き付ける何かを確かに持っている。

その彼女の魅力とは一体何だろうか。

それは、今回の公演でも感極まり涙を見せる瞬間があったが、演奏するその場の空気に触れ感情を露わにする、鋭敏な感受性ではないだろうか。

公演ごとに一期一会で違った表情や立ち振る舞いを見せる、その不安定感が大きくプラスに転じている。
手に汗握るような緊張感や力の入り方、徐々に軌道に乗ってくる感じなど、観客をも巻き込み同じ感情にさせるかのような、共感性をくすぐる不思議な力が間違いなくある。
観客の目を離させない、生の息づかいがそこにはあるのだ。
その証として、多くのファンは親心さながらに「娘のように成長を見守りたい」と語る。

だからこそ課題も浮き彫りだ。

今後成長とともに良い意味での未成熟感がなくなるに従い、“父母性本能”以外の何で今後観客を魅了するか、である。
しかし、その時もきっと彼女が意図せずに持つ何らかのパワーを発揮することだろう。
その答えは私たちはまだ知る由もない。やはり、見守ることを余儀なくされてしまうのだ。

とにもかくにも、本公演はすみれにとって大きな達成感を与えるとともに、先にそびえる大きな関門を感じさせた、非常に有意義なものだったのではないだろうか。

(著・中村智哉 /2019年11月25日)

<ダイジェスト映像 Short Ver.>

Long Ver.(約30分)はこちら
<泊大漁ソーラン>